日々凶日

世の中を疎んでいる人間が世迷言を吐きつづけるブログです

自然に気圧された街

視点の変化 あの大きい田舎町めいた、道幅の広い、物静かな、木立の多い、洋風擬まがひの家屋うちの離れ/″\に列んだ――そして甚どんな大きい建物も見涯みはてのつかぬ大空に圧しつけられてゐる様な、石狩平原の中央ただなかの都の光景ありさまは、やゝもす…

「異邦」としての東京

謳われる東京 1990年代以降、あの日本を破壊したテレビでは「東京」の歌が盛んに謳われた。テレビこそが第二の故郷であり、文化的素地であった僕らにとって東京とはまさしく「憧憬」そのものとなっている。 幽霊東京 / Ayase (self cover) 人も物も文化も何…

現代の創作物は造物主を喰らう

とある楽曲 歴史的にも長い梅雨と100時間程度の超過勤務に死にかけていた私に久々の筆を執らせたのはこの動画だった。 トップハムハット狂 (TOPHAMHAT-KYO) "Mister Jewel Box"【MV】# FAKE TYPE. この曲を聞いたときに思い出したのは、昨年、若くして逝去し…

解釈が最高に一致した話

「禁止」の内在化=教育 私は2009年からいろいろなボカロ曲を聴いているが、そのなかでもこの歌詞の意味は深いなあと思った曲がある。『ビターチョコデコレーション』である。 【初音ミク】ビターチョコデコレーション【syudou】 この曲の解釈自体は著者が言…

新型コロナは現代の元寇かもしれない

日本政府に感じる無能感 現在、日本政府はそこそこの努力はしている。厚生労働省では、毎日しっかりとした新型コロナにたいする報告を上げている*1し、中小企業庁は真っ先に資金繰りが苦しくなる中小企業向けの助成金*2を発表している。首相が言い間違えたが…

『ミッドサマー』と原始信仰

『ミッドサマー』を観てきた ここのところ、Twitterを騒がせている『ミッドサマー』を観てきた。観た感想を正直に言うと、「なんかチャチくさい」である。この作品の目新しさは、ホラーのド定番に北欧神話のアミニズム要素をこれでもかと混ぜ込み、見事に調…

連続体化する社会

エピステーメーというメタ認識 エピステーメーとは、フーコーの著作『知の考古学』や『言葉と物』において提唱される哲学的概念である。時期によって、その概念の意味合いに変化は生じるが、大枠は以下のようなものである。 知の考古学 (河出文庫) 作者:ミシ…

ファシズム国家、日本

ファシズムなるもの 先日、『ファシズムの原理』というイタリア・ファッシストの論文集を購入した。 ファシズムの原理 他三篇 紫洲古典 (紫洲書院) 作者:B. ムッソリーニ 出版社/メーカー: 紫洲書院 発売日: 2019/10/05 メディア: Kindle版 この本は私たちが…

自己啓発本を読んでも意味がない理由

立ち読みをしてみると 私はよほど一目惚れした本以外は基本、立ち読みを数ページしてから買う。いや、だいたい買ってる本は一目惚れして買ってるので、立ち読みをするような本は買う価値はないということになる。 雑誌、小説、新書……等々を立ち読みしてきた…

ディストピアもの私論―不都合な日常と私たちの違和感―

BIG BORTHER IS WATCHING YOU 今日は自転車で近所のカトリック教会を巡ってきた。何かブログのネタを探そうとも思ったが、特にそれらしきものは見つからず、約3時間・約20kmのちょうどいい運動にはなった。しかし、帰宅したときに善き便りを友人が送ってくれ…

『ヨルムンガンド』と見果てぬ夢

ボーイミーツガールからの脱線 ―――僕は、武器商人と旅をした。 『ヨルムンガンド』は、上記の台詞が露骨に示しているように典型的なボーイミーツガールものである。少年兵ヨナは、武器商人ココとそのファミリーたちとの出会いから人間的に成長していく。ジブ…

なぜこうも私を怒らせるのか

平泉澄と日本会議 今日の私は少しブチキレそうである。私は郷土史をこよなく愛し、その史的成果を重んずる人間である。要するに、その地に染み着いた信仰や風習から垣間見る歴史を楽しんでいる。 だが、そういうのを徹底的に否定するバカがいる。所謂、皇国…

『風立ちぬ』と日常

ジブリ映画が好きな私 私の親はジブリ映画が好きな人で、かくいう私も幼少の頃からジブリ作品を見てきた。小学生までは、『となりの森のトトロ』が好きだったし、中学生になってからは『ハウルの動く城』、『魔女の宅急便』が大好きだった。特に、『ハウルの…

神を恐れない日本人

「郷土史」に興味がない日本人 郷土史、日本においてあまり日の目を見ない学問である。歴史といえば、教科書的に編集された「正史」のみが教えられ、郷土に息づいてきた神話や古文署の解読を通して確認された史実は徹底して軽視される。 この現状は明治政府…

健全な発達

健全な発達とは MBTIの目的の一つが自分の性格類型を把握することを通して、その類型からあえて逸脱して(おそらく代償的な心理機能の使用)全人的な発達を目指すことにある。この理屈自体に、私はどうしようもないアメリカ的なプラグマティズムと心理主義を感…

似ていない似た者同士

まとめを書いた理由 MBTIについて今まで学んだことのまとめをあげた。 dasun-2020.hatenablog.com このまとめを書いた理由は今日のことを書きたかったからである。16性格類型論、実は心理機能にだけ縛られると、同じ心理機能を有している者同士のほうが似て…

MBTIについてのまとめ

16性格類型 MBTI、広義的な意味ではユングのタイプ論から拡張された16性格類型は人間の性格を下記の4つの指標*1から分類する。 内向・外向指標(I・E、自分のエネルギーを外に向けるか、内に向けるか) 感覚・直観指標(S・N、具体的な事物中心か、想念中心…

暴力に魅了される現代日本人

我らヴィクトリア朝の人間 私の敬愛するフーコー先生、その人生の中期における著作『性の歴史』において、人間が何かを禁止するということはその何かにたいして強い興味を示していることの証だと述べている。その範例として用いられるのが大英帝国のヴィクト…

「生きさせろ」は甘い

「生きさせろ」は甘い 私は現在の山本太郎氏をなかなか見所のある政治家として評価している。確固たる財政論及びそこから展開される政策の数々は安倍政権なんかよりも遥かに優れていると断言できる。 しかし、どこか甘い。以前、甘ったる言葉にこそ差別の真…

高校時代がつまらなかった話

高校ボッチだった自分 私は高校時代、友だちが一人もいなかった。周囲から見れば、話をする友人や仲のいい後輩なんかがいたように見えるが、実際には彼らとは趣味が合わなかった。止む仕方なく一緒にいただけなのである。 私が高校ボッチ生活から感じたこと…

現人神の認定者―出雲国造神賀詞から読み解く―

今日、上野にある国立博物館で開催中の『出雲と大和』という企画展に行ってきた。この企画展は日本書紀が編纂1,300年を迎えたことに開催されたもので、日本書紀の正史的な神話観に寄ったものではなく、信仰と政治の関係を考古学的見地から分析する実に中立的…

信仰、教学、規範

宗教と一言にいうけれども 宗教、この言葉はとても多様な意味合いをもつ言葉である。仏教、神道などの一般的な宗教もあるが、他にも、何かを信じることやあるものに熱中することにも使われる。 私はこういう曖昧な使われ方をされる言葉が好きではなく、よく…

道外と本土

最後の植民地 日本に残された最後の植民地、それは北海道と沖縄である。そんなことをいえば、自称愛国者さまが猛り狂いそうだが、近代史を見れば歴然とした事実である。 北海道、沖縄は近代以後、日本人が ・先住民族を同化させたり ・混血によってアイディ…

肉感的な神と観念的な神

『まつろわぬ神々が近代なってから本格的に零落した』と今まで二つの記事で取り上げてきたが、その意味について詳しく語ることを避けてきた。この感覚はあくまで私がさまざまな寺社仏閣、教会等々を巡るなかで得た肉感的(アクチュアル)な現実であり、言語化…

まつろわぬ神々の黄昏―諏訪信仰―

出雲と諏訪 大和朝廷に反逆した神々のなかで、ひときわ大きな影響力を持つ神が諏訪族の神々と出雲族の神々である。両者の神話は大和王権の神話のみを扱い、正史を造ることを目的に編纂された日本書紀においても大きな比重を占めており、この二氏族がいかに大…

恋愛とは暴力である

はじまりは唐突に…… https://note.com/wakari_te/n/n69664c2c07c1 この記事がたまたま流れてきた。話の主体は、非モテと暴力の関係であり、その趣旨にたいして議論の内容も明快で興味深く読ませていただいた。 しかし、所々、納得できないところがある。それ…

自分の人生を変えた本3選

中田敦彦が『ホモサピエンス全史』を解説していた。私にとって、この本は自分の思想を深めてくれた大事な一冊である。中田の紹介の良し悪しは置いといて、この本の内容の素晴らしさと自分への影響というのは比例しない。 残念ながら、『サピエンス全史』は私…

甘ったるい言葉に隠されたもの

何でも差別の世の中 現代はどれだけ綺麗なおしゃべりができるかがもっとも重視される時代である。職場においても、○○ハラスメントとみなされる言動は排除され、そこかしこでコンプライアンスが叫ばれる。 しかし、私はどうしてもその風潮に馴染めない。なぜ…

売国奴の見分け方

強い語感 「売国奴」、現代の日本でここまで語感が強いのに濫用されている言葉はない。たいていはある政策に反対する勢力によって、その政策を推し進める勢力を誹謗中傷するのに使われ、古くは日本人という近代意識が目覚める大政年間から使われていたらしい…

ファム・ファタールと外向感情

ちょっとした趣味 私は昔から性格診断というものに並々ならぬ興味があった。私は昔から人の心が分からぬところがあって、それを理解するための補助具として性格診断に期待を持っていた(高校で哲学に出会うまでは、心理学科に進もうとも考えているほど)。 し…