日々凶日

世の中を疎んでいる人間が世迷言を吐きつづけるブログです

自分の人生を変えた本3選

中田敦彦が『ホモサピエンス全史』を解説していた。私にとって、この本は自分の思想を深めてくれた大事な一冊である。中田の紹介の良し悪しは置いといて、この本の内容の素晴らしさと自分への影響というのは比例しない。

残念ながら、『サピエンス全史』は私にとってすでに体感していたことを言語化してくれただけのものであった。今日は私の人生に影響を与えた本を紹介したいと思う。

一九八四年

https://www.amazon.co.jp/一九八四年-新訳版-ハヤカワepi文庫-ジョージ・オーウェル/dp/4151200533

私は小学生の頃から図鑑を読むのが好きな子どもだった。この頃は正直、文よりも絵やデータを見ていたと思う。実際に私が惹かれるものは文章ではなく、地図や絵柄だった。

中学の頃からどんどん文章を読むことにハマっていった。最初にハマったのは、京極夏彦百鬼夜行シリーズである。といっても、京極堂の目眩く言説をただ固唾を呑んで見守っていただけであったが。

高校生のときに、実家の近くのTSUTAYAで始めて、この本を取った。最初はただの好奇心で読み進めていった。しかし、この本の重厚な世界観にどんどん呑まれていったーー。

この本は私の民主的政体と人間への信頼を完璧に破壊した一冊である。私はどう考えてもオブライエンに近い人間だった。そのオブライエンが痛めつけるスミスも自分に近い人間だからこそ、今の社会を構築する概念そのもの邪悪さについて分かったし、失望もした。そして、その邪悪さを楽しむことも覚えてしまった。

現代思想の冒険

https://www.amazon.co.jp/現代思想の冒険-ちくま学芸文庫-竹田-青嗣/dp/4480080066

確か、この本は高校の総合の課題図書だったと思う。『超訳 ニーチェの言葉』なる安易な「哲学本」にハマっていた私は先ほどの経験から(それ以外にも心理学、物理学、百鬼夜行シリーズが好きだったりしたこともあるのだが)、哲学の道を志すようになる。

その最中で出会った本である。この本のなかで紹介された現象学には一時期どっぷりハマり込み、ソシュールの著作にまで当たったほどだ。

しかし、私を哲学に向かせてくれた本であるが、今にとっては当たり前の思考すぎてこの本について書くことがない。哲学初学者には平易で分かりやすくオススメの本である。

後期近代の眩暈

https://www.amazon.co.jp/後期近代の眩暈―排除から過剰包摂へ-ジョック・ヤング/dp/4791764331

大学3年生の頃に、進んでいた学部の関係からこの性格のくせに社会保障について本気で考えていた時期があった。そのなかで、社会的包摂という概念に出会い、幾分の「違和感」を感じながらも、この概念こそが日本社会を支えるキーだと考えていた(今見てもかなりリベラルでお花畑な思想である)。

むしろ社会的包摂こそが人々の不幸をもたらすというこの本に出会ったことが良くも悪くも私を社会保障から遠ざけてくれた。

この本で語られていることは、アメリ現代社会の分析ではあるのだが、今日の日本にも当てはまる。それは「人々が同じ社会に生きていると思っているが、まったく異なる社会的条件に生きており、その意識がむしろ永遠に渇かない不平等感をもたらす」ということである。

なんと当たり前と思うかもしれないが、自分たちの身近な存在に思えるYouTuberが裏では自分たちとまったく異なる生活をしているということである。これはちょっとおかしいと思う人もいるのではないか?

その論の是非は置いといて、私はここで殴られてしまったがために、思想が完全にリベラル左派から保守左派に振れてしまった。私の物の味方を180度変えられた一冊である。

うまく書ききれなかったかもしれないが

なんというか、うまく書ききれなかったかもしれないが、私の人生に影響を与えた本は私の思想の根本となった本ではない。むしろ、私の思想を変えるきっかけとなった本たちである。私の思想の根本となった本については、また別の場で紹介したいと思っている。